メンズのお客さまの単価が上がってくれれば、かなり嬉しいと思いませんか?
「メンズのお客さまの多くはカットしかしないから、せいぜい3000円代の単価なんだよね……」
メンズのお客さまはカット以外に、たまにパーマやカラーをすれば良い方かもしれません。
オプションサービスのトリートメントやヘッドスパを利用する方は、少ないかと思います。
とはいえど、せっかくのお客さまですから単価が上がってくれれば嬉しいですよね。
そこで今日は、あなたの美容室ですぐに単価がアップできる方法をお伝えしたいと思います。
目次
1.メンズのお客さまは客単価が絶対に低い?
私自身もメンズなので、正直思いますが……
メンズが美容室で頼むメニューって、なかなか10,000円を超えることがないよなぁと思います。
パーマやカラーをしたとしても、数ヶ月に一度。
女性のようにトリートメントをオプションですることもないため、スタッフ側としても客単価アップでアクションを起こしにくいのが現状だと思います。
しかし女性限定の美容室でなければ、一定数のメンズがあなたの美容室には流れてきます。
もしもそういったお客さまの単価が上がったり、リピート率が上がればあなたの美容室の売り上げは底上げされますよね。
単価が上がるということはそのお客さまがあなたの美容室を気に入ってくださるということですから、リピート率も上がるということです。
ですから、今回はメンズのお客さまの客単価をどうやって上げるか?ということについてフォーカスしてみました。
2.私が思わず「なるほど!」と感じた客単価アップ術
じつは社内で最近美容室に行ったメンズのスタッフS君に聞いたのですが、面白い話があります。
というのも、彼はつい半年前に引っ越してきたのですが、新しく行った美容室で毎回単価が上がっているというのです。
美容室からすれば、めちゃくちゃ優良顧客ですよね(笑)
彼の話を詳しく聞いてみると、そのお店がやっているメンズの客単価アップ術が非常に参考になりました。
私なりに彼の話をまとめると、次のようなステップで単価がアップしていったそうなのです。
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~S君が抵抗なく単価アップしていったステップ~
初回
最初はお店のホームページから予約。
そのときは初回クーポンを使ったので、カットのみで3000円くらい。
2回目
次に行ったときには担当スタイルストのオススメで、カットのほかにオプションで炭酸泉シャンプーを注文。
お試しだったので500円でできた。
このときのお会計が4000円くらい。
3回目
今回はカットのほかにヘッドスパを担当スタイリストにオススメされたので、注文。
パーマとセットだとお得だったので、パーマも一緒に。
お会計はぐっとアップして6000円ちょっと。
4回目
カットのほかに今回もヘッドスパを注文。
パーマは前回やったので、この日はカット+ヘッドスパのみ。
ヘッドスパはこの月はキャンペーン期間だったのでお得に。
お会計は今回も6000円くらい。
5回目(今月行く予定)
まだ行っていないが、カットのほかにまたヘッドスパを注文予定。
ヘッドスパは前回やったものとは種類が違い、メンズ専用のスパをやる。
お会計は7000円くらいを予定。
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S君が単価アップしていった流れを見ていきましたが、いかがでしょうか?
話を聞いていて、面白いようにS君は単価がアップしています。
これは担当のスタッフが、特別良かったのか?と最初考えました。
カリスマ美容師ともいえるスキルがあれば、こうしたことも可能かもしれないからです。
しかし、どうも話を聞いているとそうではありませんでした。
ひとことでいえば、S君の行っているお店には客単価アップの仕組みづくりがしっかりとされていたのです。
具体的には、次のような仕組みです。
- S君がお店のお客さまというよりも、お店の一員になっている。
- 担当のスタイリストがオプションの特徴を説明できている。
- 単価アップに抵抗がないように、段階的に高くなるようにお声がけしている。
- 次回の予約を必ず取るようにしている。
パッと見た感じ、いかがでしょうか?
一見すると「うちもやっているよ!」と思うかもしれません。
しかしそれが、毎回必ずおこなうように仕組み化されているかといえば……どうでしょうか?
それぞれについて、次節で詳しく説明していきます。
3.メンズのお客さまの性質を知ればカンタン!
先ほどのS君の単価アップのステップを、どういう仕組みでお店はやっているのか?
カギとなるポイントについて、詳しく説明していきます。
①あなたのお店に属してもらう
S君の話を聞いてると、どうやら彼はお店に行っているという感覚はあまり無いようでした。
もちろんサービスを受けるので、お金は払います。
しかし、どちらかというと「お店」というより「コミュニティ」に行っているという感覚のようなのです。
なぜS君が、そういった感覚になったのか?
それは、メンズの性質をお店がよく把握していたからだと考えられます。
メンズのお客さまは、一度お店を気に入ればなかなか他に浮気することがありません。
これは女性よりも、新しいお店を調べることを面倒がる傾向があるからです。
その性質と、さらにお店がS君にとって心地良い場所になれば……。
S君としてはそのお店に対してお金を払うことに抵抗が低くなり、「また行こう」と思いリピートする気持ちも高くなります。
S君がそう思えるように、お店としてはスタッフの自己紹介を徹底していました。
また、アシスタントについても存在感を高めるために、お店のホームページで紹介文をしっかりとつくりこんでいました。
具体的には動画による紹介や、各スタッフやアシスタントがこだわっている点を書いていたようです。
そのことにより、事前にお店のスタッフ紹介をある程度読んでいたS君は、「あ、ホームページで見たあの人だ」とすぐにスタッフの名前を覚えたといいます。
名前を呼んで会話をすることで、S君とスタッフの距離はどんどん縮まります。
結果、「お店」というよそよそしい場所というよりも、月イチで通うリラックスできる「コミュニティ」にその美容室はなりました。
「コミュニティ」というとイメージしにくい方は、あなたの所属している「集団」として考えてみてください。
例えばあなたは見知らぬ他人よりも、家族に対してであれば「何かしてあげたい!」と思うでしょう。
それと同じように、S君はお店に対して「売り上げに貢献したい!」という思いが少なからずあります。
それはまるで家族のように自分を温かく迎えてくれる、お店の雰囲気や名前の分かるスタッフやアシスタントがいるからこそ。
そうなればS君がお店に毎月行って単価がアップするのは、自然なことといえます。
②論理的にメリットを伝え、誠実に提案する
メンズは比較的、論理的な考え方をします。
もちろんこれは人によりますが、感覚的な判断よりも何かを決める際には明確な「理由」があると判断しやすいということです。
例えば炭酸泉によるシャンプーが、なぜオススメなのか?
それをすると、いったいどうなるのか?
長期的に考えると、S君にとってどんなメリットがあるのか……
こういったことについて、担当のスタイリストはS君が納得できるようにしっかりと説明しているようでした。
また、S君は髪のコシが弱くなってきたことを最近悩んでいました。
そのことを話すと、担当スタイリストはヘッドスパが効くことをS君にオススメしたそうです。
最初は「売りこみかな?」とS君は思ったそうですが、担当スタイリストが心からヘッドスパをオススメしていることを感じ、ヘッドスパの予約もしたそうです。
先ほどの「メンズは論理的な考え方をする」ということと矛盾するようですが、そうではありません。
もちろん担当スタイリストは、論理的になぜヘッドスパが良いのか?をS君に説明しました。
しかし、それだけでは注文にいたらないこともあるでしょう。
あなたも何かを買う際に、論理的に「この商品はこういう理由で良いですよ」と言われたからといって、必ず買うとは限らないと思います。
その説明をするスタッフの言うことは本当なのか?ということをチェックするはずです。
S君の担当スタイリストは、ヘッドスパがS君の悩みを解決することに役立つことを、心から感じていました。
その思いがS君に伝わったからこそ、ヘッドスパの注文が取れたと考えられます。
心にもないのに「オススメですよ」といっても、相手には伝わりません。
ときには「これはオススメではありません」というぐらいの、誠実さを持つことが重要といえます。
③段階的に単価がアップするようにする
S君が最初ヘッドスパをするときには、パーマとセットのお得な割引料金でした。
これは、S君がまだヘッドスパをしたことがないので担当スタイリストが提案したものです。
2回目に来店した際の炭酸泉シャンプーもそうですが、このお店ははじめてお客さまが注文するメニューには、お試し価格を用意しています。
そこで気軽に注文してもらい、内容に満足してもらえれば次回以降もまたリピートしてもらえるということです。
ただし次回以降、お試し価格から正規の価格になれば、お会計のときには値段が前回よりも当然上がります。
ここで最初は3000円だったのがいきなり倍以上になれば、お客さまとしては抵抗が強くなってしまいます。
そうなればいくら新しく受けたサービスの質が良くても、
「違うお店に行こうかな?」
と思ってしまうでしょう。
違うお店で同じようなメニューを受けられるクーポンを使ったほうが、安く済むからです。
そうならないように、先ほどの「お店に属してもらう」という方法や、今回のように「段階的に単価がアップするようにする」という方法が有効になります。
お客様さまに単価アップしてもらうときには、いきなり倍以上の価格になるように提案するのではなく、ちょっとしたオプションから提案していくのです。
2回目にきてくれたお客さまに対しては、このお試し価格での提案をまずはしてみましょう。
「500円くらいなら……」
と試してくれるかもしれません。
この客単価アップの仕組みについては、メンズのお客さまに限らず使えます。
④次回の予約をしっかり取る
こちらの仕組みについても、メンズのお客さまに限らず使えます。
どうやらS君の行っている美容室はお会計の際に、
「次回はいつにしますか?」とスタッフが必ずお声がけしているようです。
ただこれだけであればすでに、あなたのお店でもやっているかもしれません。
しかし、S君の行っている美容室はひとあじ違います。
S君の美容室では次回の予約をその場ですると、
次回のお会計時には数%の割引がきくようになるそうです。
またこの割引率は来店する期間が2~3ヶ月以内か、1ヶ月以内かで変わるとのことでした。
当然ながら、1ヶ月以内のほうが割引率は高くなります。
つまり次回予約をその場ですることで、お店にもお客さまにとってもメリットがあるようにしているのです。
先ほどお伝えしたように、メンズのお客さまは論理的にメリットが分かると判断がしやすくなります。
この例でいえば、S君にとっては次回予約をしない理由はないという状態です。
とても素晴らしい仕組みがこのお店には働いているなぁと感じます。
とはいえど、こうした割引がお店によっては、難しいというところもあるでしょう。
ただ、次回予約をうながすだけであれば費用かかりません。
また、割引以外にもお客さまに与えられるメリットはあります。
例えば、次回予約をしてくれたお客さまにはポイントカードのスタンプを多めに押してみる。
これだけでも、十分にお客さまにとってはメリットとなります。
あなたのお店のできる範囲で、お客さまとお店の両方が無理なくメリットを受けるにはどうすれば良いのか……?
ぜひ一度、考えてみてください。
4.まとめ
以上がS君のケースから学ぶ、メンズのお客さまの客単価アップ術でした。
あなたの美容室に、すぐにでも取りいれやすい方法やコツがたくさんあったかと思います。
S君が行っている美容室は、おそらく今の仕組みになるまできっとさまざまな方法を試したのでしょう。
仕組み化するまでは、うまくいかない方法もきっとあったかと思います。
なかなかうまくいかないと、「やっぱりいまのままで良いや」となりがちです。
しかし、一度うまく回りだせば仕組みというのは労力がかかりません。
そういった意味では今回の客単価アップ術はかかる労力に対して、得られるリターンは非常に大きなものとなります。
もしもあなたの美容室にきてくれているメンズのお客さまの単価が、S君のように最初と比べて2倍近くになれば……。
今よりもかなり売り上げは、安定すると思いませんか?
S君がいまの美容室に対して単価がしだいに高くなっていったように、あなたの美容室でも少しずつできることがあるはずです。
一気に変えようとする必要は、ありません。
現時点でできることを、ぜひひとつでもやってみてください。
そこからうまくいったものを、仕組みにしていきましょう。